紅茶を美味しくするポイント、「蒸らす」。なんで必要なの?
紅茶を美味しく淹れるには、「蒸らす」というプロセスを入れとよい、とよく聞きます。 コーヒーのように、お湯を注いだらすぐに飲むのがおすすめでないのはいったいなぜなのでしょうか。 今回は、この「蒸らす」プロセスに注目し、調べてみました。
【目次】
1.まずは、紅茶のおいしい淹れ方をおさらい!
2.「蒸らす」とは、茶葉の成分がお湯に溶け出すのを数分かけて待つこと
3.茶葉の成分は、浸透圧の作用で湯に溶け出してくる
4.蒸らし時間の目安は、茶葉の種類、水質によって違う
5.蒸らす時間が長すぎると、紅茶はどんどん渋くなる!
6.マグカップ+ティーバッグで紅茶を淹れるときは、ふたをして蒸らそう
7.沸騰させたお湯をつかうのもおいしく淹れるポイント
8.あらかじめポットやカップを温めておくのがおすすめな理由
9.まとめ
1.まずは、紅茶のおいしい淹れ方をおさらい!
ではまずは、紅茶のおいしい淹れ方をおさらいしてみましょう。
1.お湯を沸かします。
2.ポットとカップを温めるために、それぞれにお湯を注いで1〜2分そのままにし、中のお湯をすてます。
3.ポットに茶葉をいれ、沸騰させたお湯を注ぎます。
湯と茶葉の量は、購入したお茶のパッケージに書かれているおすすめの分量のとおりに入れましょう。
4.蒸らします。
蒸らす時間は茶葉の種類によって異なります。
一般的な目安は細かい茶葉だと2~3分、大きい茶葉なら3~4分くらい。
これも、そのとき使う茶葉のパッケージに書かれたおすすめの蒸らし時間を参考にしてください。
5.カップに注ぎます。
このとき、どのカップも紅茶の濃さが同じようになるように回し注ぎするとよいでしょう。
このように、紅茶を淹れるときは、カップに注ぐ前に「蒸らす」というプロセスがあります。 この「蒸らす」ことが紅茶にどんなよい作用があるのでしょうか。
2.「蒸らす」とは、茶葉の成分がお湯に溶け出すのを数分かけて待つこと
茶葉を入れておいたティーポッドにお湯を入れても、茶葉からお湯に成分が溶け出すには、数分かかります。 一方、室温にもよりますが、お湯は、なべややかんからティーポッドにうつしたときから茶葉から成分が溶け出している間も、ゆっくりですが温度が下がり続けます。 茶葉から成分が溶け出すには、80度以上であることが必要、ということが科学的に証明されており、温度を保つためはふたをして数分待つ必要があるわけです。 これが、「蒸らす」というプロセスなのです。
ふたをしない状態でも、茶葉に熱いお湯を注いでおくと、徐々に紅茶の色合いに変わっていきます。 しかし、ふたをしないことで、湯の温度はどんどん下がり続けてるので、ある程度の段階から茶葉の成分が湯に溶け出しにくくなってきます。 美味しい紅茶の淹れたいとき、この「蒸らす」というプロセスを無視できないのは、こういった事情があるからなのです。
3.茶葉の成分は、浸透圧の作用で湯に溶け出してくる
次に、「蒸らす」間、ティーポットの中ではどんなことが起きているのかを見ていきましょう。
茶葉から成分がお湯に溶けだすのは、浸透圧の働きによるもの。 一般的に、濃度の低い溶液は、濃度の高い溶液に溶媒が移動します。 これを浸透圧といいますが、つまり茶葉にお湯を注ぐと、お湯の分子が茶葉の中に浸透していき、茶葉の成分がお湯の方に押し出されてくるという現象が起きるのです。 紅茶の場合、浸透圧が活発に起きる最適な温度が80度以上のため、湯の温度が必要以上に下がらないよう、予め温めておいたティーポットに湯を注ぎ、温度が逃げないようさらにふたをするなどして、ちょうどよく紅茶の成分が湯に溶けていくのを助ける必要があるわけです。
4.蒸らし時間の目安は、茶葉の種類、水質によって違う
美味しい紅茶を淹れるための蒸らし時間は、茶葉や水質によって微妙に異なります。 最適な蒸らし時間は、商品のパッケージを確認しておくとよいでしょう。 あくまでも目安ですが、おすすめとされている蒸らし時間をご紹介します。 大型の茶葉:4〜5分 細かくカットされている茶葉:2~3分 このように、細かく小さい茶葉の方が、短期間で風味や成分が湯に溶け出します。
また、軟水と硬水とを比べると、蒸らし時間が短くてすむのは軟水の方。 紅茶を淹れるとき、日本では、多くの商品が推奨している蒸らし時間は5分以内ですよね。 しかし、紅茶大国イギリスの場合、水質の硬度が日本より高いため、蒸らす時間は一般的にもっと長く、8~9分となっています。 それほどの長い時間ですと、お湯の温度が下がらないようより気を配る必要があり、ティーポッドカバーをつかうなどの工夫をして、美味しい紅茶を淹れています。
5.蒸らす時間が長すぎると、紅茶はどんどん渋くなる!
ついうっかり蒸らしたままにしておくと、紅茶はどんどん濃く、渋くなってしまいます。 紅茶の成分には、渋みのタンニンと旨味のテアニンとがあるのですが、決められた蒸らし時間をすぎると、必要以上にこのタンニンがお湯に溶け出し続けてしまうのです。 特にダージリンなどはタンニンが溶け出すのがはやいので、淹れる前に商品のパッケージに書かれた蒸らし時間を必ず確認するようにしましょう。
6.マグカップ+ティーバッグで紅茶を淹れるときは、ふたをして蒸らそう
さて、オフィスなど、家庭のようにティーポッドを用意できない場合は、どうやって「蒸らす」とよいでしょうか。 ふたつきのマグカップも売られていますが、ふたにできそうなものがないタイプの場合は、カップソーサーをふた代わりにつかったり、それも無い場合はラップで代用しても問題ありません。 ふたになりそうなものをカップにかぶせ、1~2分くらい待ってから飲むようにするのがおすすめです。
7.沸騰させたお湯をつかうのもおいしく淹れるポイント
ここまで「蒸らす」ことにポイントを置いていろいろご紹介してきました。 しかし、「お湯」の方も紅茶を淹れるときの大事なアイテムのひとつ。 美味しい紅茶にするには、用意するお湯は沸騰させたものをつかうのがベストだと言われています。 と、いうのも、紅茶の主成分のカフェインやタンニンは、80度以上でないと湯に溶けてきません。 沸騰したお湯は、100度。 これなら、湯温が80度を切る前に、紅茶の成分や風味がじゅうぶんにお湯に溶け出してきてくれますね。
8.あらかじめポットやカップを温めておくのがおすすめな理由
室温にもよりますが、熱湯は別の器に注ぐごとに温度が10度ほど下がってしまいます。 それをふまえると、温めなかったティーポットとカップを使って紅茶を淹れると、どうなるかがわかります。 お湯は、やかんやなべで沸かした時点で100度でも、ティーポットに注いだタイミングで90度くらいに、そこからさらにカップに注ぐことで80度以下になってしまいます。 紅茶の風味や成分は、80度以上の湯でないと溶け出さないことを考えると、なるべく高めの温度の状態を保ちたい。 そこで、ティーポットとカップはあらかじめ温めておこう、というわけなのです。
9.まとめ
紅茶を美味しく淹れるコツ、蒸らすというプロセスに焦点を当ててご紹介してきました。 茶葉からお湯に成分が溶け出すには、80度以上で数分かかることがわかっています。 そのため、ふたをするなどしてお湯の温度が下がらないようにした状態で、茶葉から成分や風味がしっかりお湯に溶け出すのを待つ、これが「蒸らし」です。 しかし、必要以上に蒸らすと、茶葉に含まれる渋み成分のタンニンがどんどん溶け出して紅茶が渋くなってしまいますので、蒸らし時間には注意するようにしましょう。
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